USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門を読んだので、学びと感想をまとめていきたいと思います。
マーケティングとは何か?
マーケティングの仕事は、商品が売れるようにすることです。
その商品が選ばれる必然を生み出す仕事です。
商品を売るのが営業の仕事。
商品が売れるようにするのがマーケティングの仕事。
放っておいても商品が売れるような状態を作り出す。
選ばれる必然を生み出す。— mia-po (@miapo8) August 30, 2019
マーケティングスキルの需要について
戦後~現在の日本経済は、統制経済でした。
日本国内だけで、需給をコントロールすることができてしました。
日本でつくったものを日本で消費することで経済が成り立ってしました。
しかし、現在はグローバル化により全世界自由経済化してしまいました。
諸外国から安い商品が流入してくるため、それらの商品と闘っていく必要があります。
つまり、作れば勝手に売れるという時代が終わったことを意味します。
そうした状況においては、売れる商品を作る必要があります。
売れる商品を作るためには、マーケティングのスキルが必要になります。
マーケティングのスキルとは、商品を売れるようにすること、売れる商品を作ることだからです。
従って、マーケターの需要は大きく伸びる可能性が高いです。
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」
戦後~現在の日本経済は、統制経済だった。
自由競争が存在しないため、マーケティングが必要なかった。
しかし、グローバル化により全世界自由経済化してしまった今、マーケターの需要は大きく伸びる可能性が高い。— mia-po (@miapo8) August 30, 2019
消費者の頭の中で優位を取る
選ばれる必然を生み出すには、消費者にいいイメージを持ってもらう必要があります。
消費者が何かを買おうとしたとき、頭の中にいくつかの選択肢が浮かびます。
例えばヘアワックスを買う時に、消費者の頭の中には以下のような選択肢が浮かびます。
・品質はいいけど、高いもの
・品質はそこそこだけど、安いもの
・自分と同年代の人が良く使っているもの
・イケてる人たちが使っているもの
自社の製品の想起のされ方が、目指すイメージと一致しているのかは非常に重要です。
例えば、高級路線で行きたいにもかかわらず、「安かろう、悪かろう」と言ったイメージで想起されては、その後の戦略が全て崩れてしまいます。
消費者の頭の中にある自社製品に対するイメージのことを、ブランド・エクイティーと言います。
マーケティングとは、ブランド・エクイティーを築き、消費者の頭の中で有利なポジションを獲得するための活動とも言えます。
・ブランド・エクイティー
消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージのこと。
ブランド・エクイティーを築くための一連の活動のことをマーケティングと呼ぶ。— mia-po (@miapo8) August 30, 2019
目的と戦略と戦術について
マーケティングの基本は戦略思考です。
なので、戦略思考の基本について少し紹介します。
戦略思考は、大きく目的、戦略、戦術の三要素からなります。
目的と戦略と戦術の包含関係は以下のようになっています。
つまり、目的がまずあり、それを達成する方針として戦略があります。
そして、その戦略を実現させる具体的な手段が戦術となります。
例えば、以下のようなイメージになります。
・目的…給料を上げる
・戦略…昇進する
・戦術…仕事で成果を上げる
また、目的、戦略、戦術は入れ子構造になっています。
先ほど例に出した戦術ですが、これもさらに目的、戦略、戦術に分解できます。
・目的…仕事で成果を上げる
・戦略…業務外でスキルアップに励む
・戦術…資格の取得に向け勉強する
戦略と戦術はどちらが大事か
戦略と戦術では、戦略の方が大事です。
戦略とはいわば目指すべき方向です。
目指す方向が間違っていては、いくら頑張っても目的を達成することはできません。
例えば、仕事で成果を上げるために、全然関係ないスキルを磨いても意味が無いですよね。
また、戦略が間違っていて、戦術が優れていると最悪の事態が発生します。
間違った方向に大きく進んでしまい、リカバリが困難になるのです。
戦略と戦術の組み合わせの順位
1.良い戦略、良い戦術(ベスト)
2.良い戦略、悪い戦術(ベター)
3.悪い戦略、悪い戦術(リカバリ可能)
4.悪い戦略、良い戦術(リカバリ困難)
4が最悪なのは、間違った方向に大きく進んでしまい、後から軌道修正が難しいから。
戦略の策定が非常に重要。— mia-po (@miapo8) August 30, 2019
良い戦略の判断基準
では、どうすればよい戦略を選択できるのでしょうか。
本書では、良い戦略の選定基準を以下の3つと定義しています。
良い戦略の判断基準
・選択的か(やること、やらないことが明確か)
・資源は十分か
・継続可能か
・自社の強みと合致しているか
全てを満たすものはないので、選択肢の中からベターなものを選ぶ。— mia-po (@miapo8) August 30, 2019
また、良い戦略を考えるためには、市場構造を把握することが重要です。
市場構造とは、いわば戦いに関する全ての情報です。
相手の戦力がどれくらいなのか、どのように戦うのか、そもそも勝ち目があるのかを考えることはできません。
戦場がどのような構造になっていなければ、戦に勝つことはできません。
高所に陣取った方が有利ですし、逃げ場のない地形で戦えば大きな被害が出てしまいます。
マーケティングも同じです。
競合がどんな製品を持っていて、どのようなブランド・エクイティーを築いているのか。
それに対抗できるだけの資金力が自社にあるのか。
そもそもこの市場はどれくらいの規模があるのか。
戦って勝ち取って、それに足るだけの見返りを得ることができるのか。
そういったことを考えなければ優れた戦略を立てることはできません。
市場構造に逆らわない戦略を考えるためには、しっかりした市場分析が必要。
市場構造とは、どのような要素がどのように関係しているか、どこを動かせばどこに影響が出るかという関係性のこと。— mia-po (@miapo8) August 31, 2019
優れたマーケティング戦略を立案するのには、市場分析が欠かせないのです。
市場分析のフレームワーク
いきなり市場分析をすると言っても何からはじめればいいかわかりませんよね。
そこで登場するのがマーケティングフレームワークです。
マーケティングフレームワークとは、マーケティングの考え方の型のことです。
その型に沿って思考を進めていけば、答えが出るのです。
ここでは一番有名な5C分析を紹介します。
Company(自社) | 全社戦略、経営資源の把握 |
---|---|
Consumer(顧客) | 量的理解(データ)と質的理解(深層心理) |
Customer(ビジネスパートナー) | 協力会社、外注など |
Competitor(競合) | 競合他社 |
Community(環境) | 法律、為替、景気など |
万人に売れるものは存在しない
マーケティングにおいて最も重要なのは「誰に売るか」です。
そもそも買ってくれる人がいなければ商品は売れません。
そして、人の需要と言うのはピンポイントなものです。
例えば、エンタメなどはその傾向が強いでしょう。
娯楽であれば何でもいいという人は少ないでしょう。
カラオケが好きと言う人もいれば、そもそも歌を歌うのは嫌いという人もいます。
家でゆっくり映画を見たいという人もいれば、みんなでスポーツバーで騒ぎたいという人もいます。
このように、人の需要と言うのは千差万別です。
それは、同時に万人に受け入れられるものは存在しないということでもあります。
音楽は音楽が好きな人にしか受けませんし、スポーツはスポーツが好きな人にしか受けません。
何が言いたいかと言うと、ターゲットを絞ることが大事と言うことです。
万人に受け入れられようとすると、特徴のない商品になってしまいます。
例えば本を書く場合にも、対象読者が初心者なのかプロ向けなのかで本の構造や説明の仕方が全く変わってきます。
初心者向けにプロの説明をしても理解できませんし、プロに初心者向けの説明をしたら、読む必要がないと判断されかねません。
間を取って、中途半端なレベルの本を書いてしまえば、そのどちらにも売れません。
消費者の数%が売り上げの大半を作っている(パレートの法則)というのもあります。
特定の顧客層に深く刺さる製品を作ることが大事だということです。
■いい目的の基準
・実現可能性
・シンプルさ
すぐ思い出せるか
・魅力的かどうか— mia-po (@miapo8) August 31, 2019
ターゲット選定のフレームワーク
ぺネトレ―ション | まだリーチしていない層(ファミリー層など) |
---|---|
ロイヤリティ | リピート率を増やす |
コンサンプション | 1回の消費量を増やす |
システム | 使用する商品の種類を増やす |
パーチェス・サイクル | 購入頻度を増やす |
ブランド・スイッチ | 競合から乗り換えてくれるか |
感想
わかりやすさを重視ししている
抽象的でとっつきにくいマーケティングという概念をわかりやすく伝えるための工夫が随所に見られます。
まず一般的な説明をした後、それを理解しやすいように具体例を交えてくれます。
また、図が多くわかりやすいのも特徴です。
例えば、
・選択と集中のたとえ話の兵力の振り分けの図
・戦略と先述の重要性を目的地と移動手段に例えた図
などは、文章だけではわかりにくいので、非常に効果的だったと思います。
もっと詳細な説明が欲しいなと思うところで、欲しい説明が提示されます。
これも消費者心理を理解したマーケターのなせる業なのかもしれませんね。
理解しようと肩に力を入れなくても読めてしまうので、通勤電車などの隙間時間に読み進めていくにもオススメの本です。
教科書的な本ではなく、血の通った本である
マーケティングの本と言うと教科書的なものが多いですが、この本は著者の個人的意見や経験がふんだんに取り入れられています。
そのため、マーケティングフレームワークの解説などは少なく、教科書的なマーケティングの本を期待している人には不向きかもしれません。
よく言えば血の通った本ですので、教科書的な本に飽きた人やマーケティングの入り口としての本を探している人には非常にオススメです。